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備前ビールジョッキ『小畔(おあーぜ)』




どっしりと安定したフォルムとがっしりした持ち手で観戦に集中できます。
サッカーとピーナッツと「小畔」――――――
野球とポップコーンと「小畔」―――
オリンピックとスルメと「小畔」
などなど、お気に入りなひとときのお供にいかがでしょうか?
もちろん大地を感じさせる"土味"満点で癒し効果もばっちり・・・しかも・・・

備前焼はビールが美味しくなる!

備前焼は釉薬をかけないので微細なデコボコがあり
クリーミーな泡が立つため美味しさを逃がしません!
また傾けるとビールが器肌を滑って炭酸が活性化
ふたくちめ以降も美味しさが持続します!
昔裏ワザ番組でやっていた「気の抜けたビールに割り箸の束を入れると泡が復活する」のと同じ原理でしょうか。
(ワサビを入れるというのもありましたが…)
炭酸ジュースでも同じような効果があります。

それだけでなくビールの原料の麦も土から生えたもの、土の器が合うのは当然でしょう(己房イズム)

≪鑑賞の一例≫
1) クリーミーな泡をすする → 麦の穂の香りを楽しみ
2) 口をつける → 大地が広がり、金色の麦畑のイメージ
3) 飲み干す → 言葉はいらないですね

 
≪備前ビールジョッキ「小畔」の由来≫

 とあるドイツの下町、川沿いの石畳を足早に歩いているとポツンと明かりの洩れる店がある。
暖を求めて扉を開けると狭い店の中で大柄な男たちがひしめきあいながらブラウン管の向こうのサッカー選手に声援を送っている。
閉めようと思ったがオヤジと目が合ったのでゆっくりカウンターに近寄る。「何か温かいものを」と言っても周りの声援に打ち消されてしまう。無愛想なオヤジは業を煮やしたのか顎でカウンターの隅の席に促して奥へ引っ込んでいった…座りの悪い椅子に腰かけ別世界の店内を見渡す、どうやら双方のサポーターが入り混じっているようで時折罵り合ったり掴みかかったりしている…
不意に目の前に湯気の立ったカップが置かれた、どうやらオートミールのようだ…カウンターの中へ目をやった途端カツンッ!オヤジが無愛想なままスプーンを置いた…そのオートミールが美味いのなんのって、あの顔から想像もできないような優しい味…冷え切った五臓六腑に温かみがしみわたると心まで温まるようだ…
何の気なしにテレビを観ていると結構白熱した試合と周りのテンションでいつしかサッカーに釘付け、どちらを応援していた訳でもないがロスタイムに5人抜いてゴールを決めた時思わず立ち上がってガッツポーズ!!1−0でホイッスル、店の中には歓声とため息が入り混じる。
ガッツポーズのまま目が合ったのは相手方のサポーターらしいのですぐに目をそらしてテンションの高い大柄な男とハイタッチ!すると目の前にビールジョッキが差し出された、さっき目の合った男が「おごりだ、呑め」という身振りで毛むくじゃらの腕を突きつける。それを一気に飲み干して親指を立てると相手は雄叫びを上げて肩を叩いてきた。それから勝った方も負けた方も入り混じって遅くまで呑み明かした。

その店に出てくる黄土色の陶製のビールジョッキをイメージして作りました。
長々と書きましたがフィクションです。このジョッキを作る時(特に取っ手を付ける時)そんな想像をしながら作りました。
名前「小畔」(おあぜ)はそのパブの名前「OASE」(オアーゼ、ドイツ語でオアシスという意味)から命名、店が川の畔(ほとり)にあったこととこじつけて…
フィクションです、念の為…




◇◇◇土のある生活のススメ◇◇◇

現代生活の中で"土"に触れる機会は少ない。
それは田舎でも例外ではなく、家の際まで舗装されていて
畑や庭いじりをしないのであれば"土"を踏むことさえ少ない。
人類が誕生して6,500万年、"土"の上で生活してきたことを考えても
"土"のない状況に違和感を覚えるのは私だけではないはず…

そこで「己房」では生活の中に"土"を取り入れることを提案します。
無釉・焼締めの備前焼は"土"そのものであり、その原土も無機質なものではなく
有機質(生命の痕跡)の多い「生きた土」であるのも大きな特徴です。
色・質感は地面や山肌・岩肌とよく似ていて大地を感じさせてくれますし
草花が"土"から生えていることを考えれば、生け花に適するのも自然で
食べ物も大地の賜物であれば食器としても自然な流れであると思います。
私自身備前焼を志した理由もここにありました。
◇◇◇備前焼とは◇◇◇

備前焼は日本の六古窯(古くからある窯業地で瀬戸・常滑・越前・信楽・丹波・備前)の
一つで現代では世界的に見ても珍しい無釉・焼締めを守る焼き物です。 
生きた土を松割木で焼き上げた備前焼は素朴さと豪快さを備え、
桃山時代には豊臣秀吉や茶の湯を完成させた千利休にも愛用された
侘び・寂を最も感じさせる焼き物でもあります。
明治維新後の欧米化の中衰微するも、昭和に入ると民芸運動など
日本の伝統を見直そうという流れから再盛し、その功労者の一人の
金重陶陽氏をはじめとするたくさんの人間国宝を輩出した
日本を代表する伝統的な焼き物なのです。
◇◇◇己房の目指す備前焼◇◇◇

備前焼は土性(土の性格)と火性(火の性質)が大きい焼き物だと思うので
作り手の意図は勿論のこと土性と火性を兼ね備えた 
土・火・人の合作でありたいと思います。
土を感じられる・火の流れを楽しめる
そして使い心地の良い備前焼、
何より自分が欲しいものをコンセプトに今日も土に向かっています。
◇◆◇◆◇ オンリーワン ◇◆◇◆◇

備前焼は無釉・焼締めで、土と火の性格が大きく出るので同じ形・同じ焼き方をしても
全く同じというものができない焼き物です。
それ故に一品ずつ個別にご紹介しております。
また器表面がザラついていますが、使っているうちになめらかになり色もしっとりと
落ち着いてくる、いわば「育つ器」でもあります。
ぜひ使い込んでオンリーワンな器に育てて下さい。
※※※※※ご注意※※※※※

備前焼は急熱急冷に弱いので、直火での使用・電子レンジ・オーブンなどでの使用・急激な冷却などは避けてください破損の危険があります。
備前焼は吸水性があるので凍らせると破損する危険があるので凍らせないでください。
備前焼は土そのものを焼き固めたものなので多少表面にざらつきがあります。窯出しの際には万全を期して手入れを行っておりますが、万一手に触るようでしたらサンドペーパーなどで擦って下さい。
料理を盛る器は、盛り付ける前に器を水に浸しておくとシミも付きにくくお手入れもし易くなります。




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